ペアレント・トレーニングとは?
ぺアトレ受講体験記1

私と夫は、自閉スペクトラム症(併存して選択制緘黙)と診断されているめちゃ子の育児に悩んでいました。

悩みとは、特に、私とめちゃ子が自宅で2人でいるときの、めちゃ子の癇癪や暴言、暴力です。

そんなとき、事あるごとに相談していた行政機関(市の発達支援を行っている部署)から、同機関主催のペアレント・トレーニング講座の受講を勧められました。

私は、藁にもすがるように、

「受講します!」

と即答しました。

その際のペアトレ受講の体験から、ペアトレの講座ってどんなものなのか、その内容や時間など気になる点を、これから8回に渡り、書いていきます。

はじめに

私は、ペアトレ受講を勧められた際、即、受講すると回答してしまいましたが、冷静になって考えるとペアトレってなんぞや?と思い、自分なりにいろいろと調べてみました。

初回は、『ペアレント・トレーニングとは?』と題して、ペアトレの歴史などについて書いていきます。

ペアレント・トレーニングの歴史と発展

ペアレント・トレーニングとは?

ペアレント・トレーニングとは、注意欠陥・多動性障害(ADHD、自閉スペクトラム症(ASD)などの発達障害の子どもを持つ親が子育てにおいて必要とされるスキルを学ぶためのプログラムです

ペアレント・トレーニングでは、子どもの養育スキルを獲得することを目指します。(中略)これまで多くの研究で、ペアレント・トレーニングは親の養育スキルの向上やストレスの低減、子どもの適応的な行動の獲得、問題行動の改善に効果があることが明らかとなっています。

一般社団法人日本発達障害ネットワーク JDDnet(2020).ペアレント・トレーニング実践ガイドブック(令和元年度障害者総合福祉推進事業).厚生労働省のwebサイト
めちゃ子母
めちゃ子母

ペアトレって厚生労働省が行っている障害者総合福祉推進事業でも採用されたものなんです。

ペアレント・トレーニングの歴史

ペアレント・トレーニングの歴史は、1960年代にアメリカで始まり、1974年に、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)神経精神医学研究所(現在は,UCLA Jane & Terry Semel Institute for Neuroscience and Human Behavior)の児童心理学者ハンス・ミラー(William Hansford Miller)によって行動療法を理論的基礎としたペアレント・トレーニングが開発されます1

1975年には、ハンス・ミラー著の「Systematic Parent Training: Procedures, Cases, and Issues」がリサーチプレス出版社から出版されています。

日本におけるペアレント・トレーニング

日本においては、1990年代から、発達障害に対する社会的関心の高まりとともに、肥前式、精研式、奈良式、鳥取大学式といったプログラムが発展してきました。

• 鳥取式:鳥取大学井上雅彦先生が開発。応用行動分析学の考え方に基づき、子どもの目標行動を決め、指導手続きを考え、家庭で親が子どもの行動を記録する。親の認知変容に着目した思春期の親向けプログラムも開発されている。

• 精研式(まめの木式、奈良式):米国でシンシア・ウィッタム博士がADHDの子どもをもつ家族向けに開発したプログラムを改良したプログラム。子どもの行動を好ましい行動、好ましくない行動、許しがたい行動の3つにわけ、ほめ方などそれぞれに対する対応を学んでいく。

• 肥前式:国立肥前療養所(現:肥前精神医療センター)で開発された プログラム。もとは知的障害のある子どもの家族を対象に、院内での治療効果を維持し、親が家庭でも指導ができるようにすることを目的として始まった(「お母さんの学習室」)

式部陽子(2022).発達障害支援におけるペアレント・トレーニングはじめの一歩(第157回市町村職員を対象とするセミナー「子どもの発達障害の理解と家族支援について」).厚生労働省のwebサイト

その後、ペアレント・トレーニングの需要が高まると、2016年設立の日本ペアレント・トレーニング研究会により、基本プラットホームが開発されました。

今日、ペアレント・トレーニングは、日本においても、広く知られるようになり、多くの機関(政府、地方自治体、医療機関等)が推奨するプログラムとなっています。

なお、厚生労働省の発達障害者支援施策の家族のスキル向上支援事業には、保護者に対するペアレント・トレーニングの実施が含まれています。

今日、ペアレント・トレーニングは、発達障害の子どもを持つ親にとって必要不可欠なスキルを学ぶためのプログラムとして、広く認められており、上述のとおり、多くの研究や実践によって、ペアレント・トレーニングは、子どもの行動や親子関係を改善する効果があることが示されています。

ペアレント・トレーニングの基本

ペアトレの基礎理論

ペアレント・トレーニングの考えは、心理学の理論的枠組みの下で生まれたもので、行動療法や応用行動分析(ABA)を理論的基礎として、子どもの行動を変えるために、親の行動を変えるように指導していきます。

ペアレント・トレーニングは、子どもの問題行動を改善するために、親が具体的な行動をとることが求められます。

ほめることの効果

このペアレント・トレーニングには、様々な手法がありますが、その中でも効果が高いとされるのが「ポジティブ・リインフォースメント(正の強化)」という手法です。

この手法では、子どもが望ましい行動をとった際には、親がその行動をほめることで、その行動を定着させることができます。

めちゃ子母
めちゃ子母

ほめて育てるって、科学的根拠がちゃんとあったのね!

その他

また、逆に望ましくない行動をとった際には、子どもへの注目を外すなどすることにより、その行動を軽減することができます。

このように、肯定的な注目(ほめるなど)を与えることなどで、子どもの自己肯定感を高めることができます。

さらに、ペアレント・トレーニングでは、親が子どもに対して明確なルールやルーティンを設定することも重要です。

これにより、子どもが自己規律を身につけることができ、問題行動を減らすことができます。

最後に、ペアレント・トレーニングでは、親自身のストレスや感情のコントロールも重視されます。

親がストレスを感じていると、それが子どもにも影響を与えることがあるため、自己ケアやストレス管理の方法を学ぶことが大切です。

めちゃ子母
めちゃ子母

反対にペアトレにより子どもと親の関係がより良くなると、親側のストレスも軽減されるという効果もあるみたいです。

まとめ

以上が、ペアレント・トレーニングの基本的な考え方についての簡単な解説です。

親が子どもに対して肯定的な注目を与えることにより、子どもの問題行動を改善し、より健全な成長を促すことができます。

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